高齢者への自立支援は、介護の基本とも言える重要な原則です。厚生労働省も「高齢者の自立した日常生活の支援」が必要だとしています。自立支援が重要な理由としては、高齢者の機能低下を防ぐという点が挙げられます。現状でできることは自分でしていただく、少しのサポートがあれば自分でできることはサポートをすることによって、体を動かし身体機能を維持できます。
また、高齢者が個性や尊厳を大事にした自分らしい人生を送っていただくためにも重要です。やはり、なにもかもすべて他の人にしてもらうとなると、自分のペースや好みの方法では物事を進められません。また、心理的にも負担になってしまう可能性が高いです。そこで、自立支援をすることで、自分で生活を営むという気持ちを持ち、自己決定ができるようになります。気持ちに張りが出て日々の生活を生き生きと過ごすのに役立つわけです。
さらに、介護事業者やご家族にかかる負担を減らせるという側面もあります。当人が本当にできないことだけを介助するという形でケアをすれば、作業量が減ります。また、周りで見守っている人も、高齢者がさまざまなことがまだできるというのを見て安心できるというのもうれしいところでしょう。
もう一つ重要なのが、介護に関係する社会保障費を削減できるという点です。日本では少子高齢化が急速に進んでいる状態ですので、いかにして介護や医療にかかるコストを減らして、国の財務を安定させるかが課題となっています。自立支援を積極的に行うことにより、介護コストを下げられるというわけです。